先日、つげ忠男月刊通信の発刊が三ヶ月先送りになったことはご報告した。「延期」は忠男さんと会い二人で出した結論だが、この過程ではたがいに多くの逡巡があった。忠男さんにとっては疾患して久しいC型肝炎との闘い、加えてご自身の家業も一瞬も気を緩められない「正念場」を迎えているという。一向に明るい兆し、先が見えぬ間断なき争闘。忠男さんの表情には焦慮と疲労、苦戦の痕跡が深く刻まれていた。だが、わたしとて似たり寄ったりの身の上、日々、出口なき音楽不況に苛まれ、音楽制作即生活苦の悲哀をしたかに噛みしめて永い。その間、「もう、辞めてしまえ!」と思ったことも一度や二度ではない。
終始、明るい会談ではなかったが、たがいが置かれている現状について忌憚なく語りながら、けっして安易に「後ろ向き」な回答を出さなかったことはよかったと思っている。それはたがいが自分たちの作業の重要さに気付いているからだ。いま、ぜったいに現実の悲哀に負けるわけにはいかないのだ。その中で忠男さんが提示された、書き下ろし新作を毎回十三、四枚、という選択は現状に対する大きな挑戦への表れだったろう。そう、ご自身の健康状態と時間と経済との応戦。わたしにもそれが忠男さんの現状にとっていかに過酷な作業かは容易に想像がつく。だが、わたしは黙って頷き、頭を下げた。それしか、八方塞がりの現状を打開する方法はないのだから。この期に至っては同情や遠慮は何の役にも立たないしまるで用がない。
終始、重たい会談だったがようやく結論を得て、別れ際の短い雑談。「最近、いろんな人からじぶんの画が明るくなったと言われるんですよ」。照れながら話す忠男さんの表情に微かな笑みが浮かぶ。わたしも笑顔で頷く。振り返れば、兄・つげ義春に比肩する才能を持つ不世出の表現者でありながら、つげ忠男の漫画生活は悪戦苦闘の連続であっただろう。だが、かつての漆黒の筆法を換え、白夜の時代の内側に潜む魑魅魍魎を凝視し描出しようとする近年の筆致は眩しいまでに輝いている。この「闇」をも包む「光度」が眼前の暗雲を軽く振り払ってくれたらいい、そう思った。
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# by masaru0801 | 2016-03-19 22:26
振り向いた物語の始まりが
「エミグラント」の隊列とともに
「あの遠い異国の港町」に消えて行く。
(「エミグラントに寄せる」渡辺勝)

もう、12、3年くらい経つのかなぁ。
エミグラントという群体とこの唄携えてよく旅しました。
東京・長野・名古屋・京都・大阪・沖縄・仙台・北海道…。
オフノートキャラバン「夢の隊列」。
酒と音楽の日々、旅に棲んでいたあの頃ー。
いま、懐かしい寄留者の唄にじっと耳澄ます。


「アムステルダム」によせて

原詞・曲 ジャック・ブレル 
原日本語詞 奥山恵一郎 改作 渡辺勝

喧騒の夜だ 港町 水夫は歌う 海に降り注いだ夢
街中の 枝垂柳 眠れぬ水夫を そそのかす
もっと酒を浴びろ そしたら喧嘩だぞ 疲れて 泣いて 笑えっちまえよ
肩を組んで そう 乾杯 乾杯 そして呑みすぎりゃ また喧嘩ざただ
妖しい路地では 魚の頭と尻尾ばかりを 貪り食らう奴がいる
女と見れば ニヤついて 腐ったような臭い息を吐き つけまわすんだ
アコーディオン鳴り響き 犬も吠えるが それでも食らう 石につまずき ズボンも破れ
己の血をしたたらせたままで 闇に消える 街に追われる者となるんだ
足を引きずり 呻く声は 水夫が夜を紡いだ 女たちの名前
遠い日々と 戯れようぜ なんて素敵な夜じゃないか
呑んでも呑んでも呑んでも尽きない壷を 左に抱え 右にはお前を抱えて
数えきれない 微笑みを 浮かべるお前と俺との夜なんだと


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# by masaru0801 | 2016-03-17 00:04
我が人生で最も影響を承けた硬骨のルポライター・竹中労さんに生前、若き日の音楽体験を伺ったことがある。フルトベングラーに深く傾倒した終戦直後、そのあと、ベッシ—スミスとサッチモ掛け合いの「セントルイスブルース」に出会い、黒人音楽、就中、ジャズに急旋回していったという。
「音楽は階級意識にすぐれて革命である」竹中労の生涯を振り返る時、音楽と革命は分かち難い。50年代は美空ひばりとの出会いによって「哀愁波止場」から太平天国へと到る汎アジア窮民革命の原点は措定される。つづく60年代、嵐のように襲った文化大革命とビートルズ体験。紅衛兵とビートルズ、この二つの同時代を繫ぐ一筋の糸、アナキズム原理。そして70年代、風狂の謡人・嘉手苅林昌との出会いによる島うた全面展開と汎アジア幻視行。言わばこの唄は「「神々の季節」の前におかれた戦後青春の一曲だった…。

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# by masaru0801 | 2016-03-15 09:03
沖縄の歴史的深層を穿つキオクのモノガタリを力ずくで描出しつづけてきた鬼才・高嶺剛監督、待望の新作『変魚路』2014年予告篇。一月にご本人から電話を頂戴し「只今編集追い込み中」と伺ったが、どんなサイケデリックな世界が展開されるのか完成が待ち遠しい。ちなみに拙レーベル(ディスクアカバナー)作品『賜ー八重山の願いうた/大工哲弘』より「弥勒節〜やーらよう」もラスト(エンドロールか)に挿入していただくことに。
映画『変魚路』ラッシュ編集版予告篇2014 https://t.co/7CjehdQ1bn @YouTubeさんから

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# by masaru0801 | 2016-03-14 23:56
こっちもイイ! 原田依幸のソプラノサックス、このオトこそ、オレたちを虜にした80年代の原音だ! 
原田依幸&絶倫本舗 1984 その2

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# by masaru0801 | 2016-03-10 13:59
見つけたぞ!これは凄い!! 1984年の原田依幸!!! 
原田依幸&絶倫本舗 1984 その1

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# by masaru0801 | 2016-03-10 13:57
決定!

原田依幸、久々の京都ライブ、一夜限り。

原田依幸 PIANO SOLO at CAFÉ ZANPANO

4月9日(土)19:00 open/20:00 start

カフェ・ザンパノ 075-721-2891
京都府京都市左京区田中里ノ内町81 宮川ビル 2F

2000円+1ドリンク


原田依幸(はらだ よりゆき) プロフィール
世界随一のフリージャズのピアニストである原田依幸。
1975年、梅津和時とニューヨークに乗り込み、ウィリアム・パーカーらロフト系ミュージシャンと競演。帰国後、伝説的なジャズオーケストラ「生活向上委員会大管弦楽団」結成、一世風靡する。1980年、梅津とのデュオでドナウエッシンゲン音楽祭出演、大絶賛を博す。その後、富樫雅彦、アンドリュー・シリル、トリスタン・ホンジンガー、ルイスモホロ、等と競演。小山彰太(現在は石塚俊明)、望月英明、時岡秀雄を擁する自身のグループで演奏しつつ、全国に100名近い参加者をもつ「大怪物団」のリーダーとして活動。韓国カイスト大学、ロシアでの演奏で大好評を博す。オリジナル・リーダーアルバム多数。

[近年の主な活動]
2007年 
◉韓国ソウルフリー・ミュージック・フェスティバルに招請出演
◉杉並助成事業によりIMF2007 公演開催
◉NHK ドキュメンタリードラマ「海鳴りのなかを~詩人金時鐘の60年~」の音楽を担当
2009年 
◉国際交流基金助成事業よりロシア・リトアニアでの招請公演ツアー敢行。リトアニア新聞「リタス」にて紹介される。
◉スペシャルレイトショー「雄呂血」「メトロポリス」公演で音楽(ピアノソロ)と無声映画の初の試みで新天地を披露。大絶賛を博す。
2010年 
◉杉並助成事業によりIMF2010 公演開催
◉国際交流基金助成事業より韓国ソウルフリーミュージックフェスティバルに招請出演。
◉人形遣い黒谷都プロデュース人形演劇祭 inochiで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」音楽担当。
2011年 
◉杉並区さざんかシティウィンズ定期演奏会にてゲスト出演。大好評を博す。
◉人形演劇祭”inochi「音霊=おとだま」にて人形遣い黒谷都と共演。
2012年  
◉ロシア・プロトヴィノフェスティバルに招請出演。
2013年  
◉人形演劇祭”inochi「半月」にて人形遣い黒谷都と共演。
2014年  
◉ロシア・エカテリンブルグ人形演劇祭にて演奏、モスクワ・ベリャエボギャラリーにて演奏。
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きっと良い曲も沢山あるだろうに。毎度毎度で申し訳なし。馬鹿の一つ覚えのようだが小暮はな近年の快心作としてこの曲を推したい、小暮はなのさらなる成長に期待して。震災5周年を目前にー。
小暮はな/タンポポのように https://t.co/rBfkeRbIme @YouTubeさんから

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# by masaru0801 | 2016-03-07 20:33
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最近、FBを始めた。開始してようやく20日。まだまるで慣れないが身内や「ともだち」申請させていただいた多くの方々のサポートのおかげで毎日たのしくやれている。取り分け、サックス奏者・川下直広さん、ベース奏者・不破大輔さんにはどんなに感謝してもしきれない。川下さんはSNS無知のわたしに懇切丁寧なアドバイスを常に下さったし、不破さんはわたしの投稿を頻繁にサポートして大いにもり立てて下さったのはまことにありがたく、ほんとうにうれしかった。この場を借りて御礼申し上げたい。川下さん、不破さん、いつもどうもありがとうございます。
いまはこのFBにウェブ(OFF NOTE CD NET SHOP)とツィッター(offnote)をしているが、それともうひとつ、ブログ(off note blog)もある。実はこのブログが開始していちばん古いSNS。このブログ もまたデジタル音痴のわたしが手を拱いているのを見かねて、歌手・渡辺勝さんが作成して下さったものだ。もう10年以上も前のことだ。そして、作成後の5年あまり、無給で運営も引き受けて下さり、こまめに情報の更新もしていただいたのだ。わたしはマサルさんのもの静かでけっして多くを語らない、無窮のやさしさに寄りかかり甘えていたのだ。いまはマサル流のさりげない、ひたすら宏大な心にただただ深く頭を下げるのみ。
遅蒔きながら一昨年、それまでの重い腰を上げ一念発起、自らウェブをたちあげ、絶対に手を出すことはないだろうと思っていたツィッターも始め、ついにこのFBまでも…。わたしはだんだん、マサルさんがつくってくれたブログから離れ、ここしばらくはその存在すら忘れ、更新もまるでしなかった。今朝、寝ぼけて偶然、ブログの頁を開いてハッとした。「ああ、あったんだな」。日々の暮らしの中で人から承けた真心を忘失していた自らの忘恩を深く恥じた。申し訳ない想いですぐに最新情報を三つほどアッップした。このぶっきらぼうでまるっきり飾り気のないブログの佇まいが好きだ。この殺風景さこそ、このわたしに相応しい。マサルさん、すばらしい贈りものをありがとう。
わたしにはSNSそれぞれの役割など、てんでわからない。情宣の役に立てばと闇雲に投稿をつづけてきただけだ。が内実、アナログ人間などと称しながらいちばん大切なことを忘れていた自分が恥ずかしい。いま、日記とはいかないまでも、このブログを使って「備忘録」でも始めようかと思っている。

※Facrbook は制作者の個人名(神谷一義)で運営中です。
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# by masaru0801 | 2016-03-07 16:30 | off note news